2月  鑑賞会
 

◆(朱実)
母の魂梅に遊んで夜は還る 桂信子

この句は母が生きているかもう死んでしまったかによっ
て2通りの解釈ができると思います。生きているなら病床
で日がな一日梅を眺めている母の姿が描かれ、死んでいる
なら生前母が好きだった梅が風に揺れるのを見ている作者
がいます。私は今病の母親を看護しているのかなと考えま
すが、どちらにしても母への愛情とともに、親が年老いて
いくのを見るもしくはもう会うことができないという子の
哀しみを感じます。寒さの中おだやかに咲く梅には母のイ
メージがあると思うのは、梅の文字の中に「母」が入って
いるからかもしれません。


◆(幸江)
初蝶や吾三十の袖袂   石田波郷

初蝶が三十になる自分の袖袂に寄って来るように飛んで
いる。私も自分なりの価値観が定まり人生の道すじが
見えてきたのがだいたい三十の頃。
二十でもなく四十でもなく三十という年令がとても味わい深い。


◆(真知子)
雪降れり時間の束の降るごとく      波郷

波郷の晩年の句です。
入院中に詠んだ句だと思うと、自分の人生の残り時間を
雪に見てしまったのかなと、こちらまでせつなくなります。


◆(貴幸)
春の夜の夫にうたふ子守歌 玉岡俊子

春の夜はどこか艶かしい雰囲気をもっている。人生の楽
しさも厳しさも共に歩んだ二人が、ふっと息をついた空
間をうまく詠んだ。人生の奥深さを感じさせる句である。




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